愛と死は対義語?
遡ること昭和初期。
愛しあう二人の男女がいた。
男は不器用ながらも才気あふれる
新進気鋭の小説家。
女はその男の友人の妹で、
活発で凛々しく、そして美しい。
出会いから、お互いが恋に落ちるまでは
時間がかかったものの、そこから急速に
距離を縮めるのに時間は要しなかった。
二人は心から愛し合っていて、
また、周囲もその愛を育むべく
好意的な眼差しで見守っていた。
いずれは2人は結婚するだろう。
そんな折、急遽、男が単身パリに留学することになった。
パリ在住の叔父から少しの期間でもいい。
人生の肥やしになるので、
ヨーロッパをその目で見てみないか?
声がかかったのである。
本来なら心から喜ぶべき申し出なのだろう。
しかし、男は躊躇した。
愛すべき人がいる。彼女を長く残して遠く海の向こうに
いくにはあまりにも忍びない。
幸せの絶頂だからそう感じるのも極々自然なのかもしれない。
だが、女は偉かった。
後学のため。あなたのためになるのなら行って下さい。
私は喜んでお待ちしますと。
男の友人でもある、女の兄も
「おまえが留守の間、妹は任せろ」と
心強く背中を押してくれた。
こうして男は望む望まない。いや、それが運命なのだろう。
自らの人生に導かれるままに、愛する人を残し
巴里(パリ)へと半年間、旅立ったのである。
携帯電話もネットもない時代。
やりとりといえば手紙である。
なんとも脆弱なる通信手段。
しかし、そんな文化の脆弱性をものともしない
圧倒的な強さが存在した。
そう。それは愛である。
男と女。二人の深々とした、
しかしそれでいて燃えるような心。
その愛という名の筆を走らせて、生み出される手紙には
日本ーパリ。何千キロという互いの距離を一瞬にして埋められる
不思議な力が宿っていた。
それは確固たる絆と信頼が生み出す
奇跡の調和ともいえる現象なのである。
何者にも劣らぬ比類なき力。
二人の愛は
この類をみない遠距離恋愛により、
尚、一層深まったと言えよう。
そうこうするうちに男の帰途の日が迫っていた。
あと少し!あと少し!
男と女は半年振りの再会を今か今か
待ちわびていた。いや、結婚の時を心待ちにしていたといえるかもしれない。
これだけ大きな壁を二人の力で乗り越えたのである。
この先、彼らを待ち受ける答えは
幸福なる至福の時しか考えられなかった。
そんな幸せへの一途をたどる帰国途中の船の中。
男は一通の電報を受け取る。
どうやら女の兄からのようである。
どうせ、互いの帰国を待ちわびる自分達を冷やかす内容だろうと、
どこか照れ笑いしながらその電報の内容を男は確認した。
だが、死神が存在した。
ナツコシス
妻となる最愛の女は、
男の帰国を待たずして、
流行のスペイン風邪で命を奪われてしまったのである。
運命の悪戯。いや、そんな陳腐な言葉では
表現できないほどの悪夢。
まさに悪魔の死神が鎌を振りかざし、
女の幸福なる人生を一瞬にして断ってしまった。
…というお話でした。
あらすじを自分なりにまとめてみたけど、
難しい。難しい。
長ったらしく書いちゃったけど、
つまり超ラブラブなカップルだったけど、
男の留学中に女が病死しちゃった!
アジャパー!というお話なんだ。
これが100ページぐらいの文量で、
武者小路実篤が綴った小説。
それが、秀作「愛と死」
ぶっちゃっけ読みながら先が見え見えだったんだけど、
(そりゃ、愛と死っていうタイトルだし)
なんなんだろうね?あの感覚は。
すごく丁寧で綺麗な描写。
読めば分かるんだけど、一つ一つの単語で、
1文1文を紡ぐ感じなんだよね。
留学前の男と女のやりとりシーンなんて、
こっちが照れてしまうような馬鹿ップルなんだけど、
読んでいて微笑ましくなってしまうほと、愛らしいんです。
心も汚く、チンコも汚い俺が読んでいても
そう思うんだから本当だよ?
うほっ。
そのくらいね美しい表現力で
愛の場面が形作られていて、
読み進むほど温かい気持ちになります。
ちなみに何も知らないでこの本読んだんだけど、
知る人ぞ知る、良著らしいです。
ここにアマゾンリンクとか貼ったらちったぁ
売れるかもね。はい。仕事ネタでした。


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